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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
vol.20 No.4 2016

マイクロファイバークロスはコットンクロスに比べ環境表面のClostridium difficile芽胞の伝播を減少させる

Trajtman AN, Manickam K, Alfa MJ
Microfiber cloths reduce the transfer of Clostridium difficile spores to environmental surfaces compared with cotton cloths.
Am J Infect Control 2015;43:686-689.

Clostridium difficile 芽胞に汚染されたトイレや洗面台などの環境表面は、汚染源として病院感染の伝播に関与する可能性がある。近年、これらの汚染された環境表面に対する拭き取り効果について、拭き取りに使用するクロス素材や消毒薬に着目した研究が行われている。特に、マイクロファイバー素材のクロスはコットン素材のクロスよりも表面積が大きく、汚染表面の拭き取り効果が高いと考えられている。本研究では、マイクロファイバークロスとコットンクロスについて、C. difficile 芽胞を付着させた汚染表面に対する拭き取り効果を比較するとともに、拭き取ったクロスで他の表面を拭いた場合の伝播について比較検討した。
 汚染表面サンプルには、セラミックタイルの表面にC. difficile 芽胞(約4.2 log10/site)を塗布したものを使用した。最初に、緩衝液または殺芽胞性のない洗浄剤を芽胞が付着したセラミックタイルに噴霧し、マイクロファイバークロスまたはコットンクロスで拭き取りを行った。なお、拭き取り試験では、拭き取りの強さや表面接触時間を一定にするために作成したドリル装置を使用した。拭き取りの強さは1.5-1.77Nとし、拭き取り回数は10回とした。拭き取り後のタイルやクロスの生菌数を計測することで、拭き取り効果および連続使用による他の環境表面への伝播状況の評価を行った。
 その結果、拭き取り前にセラミック表面に塗布した4.4log10C. difficile 芽胞の除去量は、マイクロファイバークロスで2.4log10、コットンクロスで1.7 log10であった。また、芽胞を4.2log10塗布したクロスで清潔なタイル表面を拭き取った場合のタイル表面への菌伝播量は、マイクロファイバークロスでは1.7log10 であったが、コットンクロスでは2.4log10であった。同様に、マイクロファイバークロスによる連続的な拭き取りで表面に伝播した芽胞数は0.8log10と、コットンクロスの1.8log10に比べて少なかった。
 以上より、汚染表面の清掃時にマイクロファイバークロスを使用することで、C. difficile 芽胞の伝播リスクを減らすことができると考える。

(訳:橋倉万由子、木津純子)

Carlisle Vol.20 No.4 p8-10 2016

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