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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
vol.20 No.4 2016

看護師の配置と医療関連感染に関する研究:方法論的な課題と想定される解決策

Shang J, Stone P, Larson E
Studies on nurse staffing and health care-associated infection:Methodologic challenges and potential solutions.
Am J Infect Control 2015;43:581-588.

病院内での看護師の配置と、医療関連感染(HAI:health care-associated infection)との関連について、これまで20年以上にわたりさまざまな研究が行われてきたが、その結論は研究ごとにばらつきがあり、中には相反するものもあった。そこで我々は、文献調査を行い、看護師の配置状況とHAI発生に関する研究結果をまとめるとともに、それぞれの研究で使用されている方法論について批判的吟味をし、課題の特定、想定される解決策について検討した。また、電子カルテ(EHR:electronic health record)導入の利点について考察した。
文献調査は、MEDLINEとCINAHLを用いて1990年以降のスコーピングレビューを実施した。査読を経て学術誌に掲載された英語の原著論文の中から、医療機関における看護師の配置とHAIの関連性について調査している原著論文を抽出した。
125報の論文および要旨を収集し、そのうち45報が抽出条件に合致した。45報を精査した結果、方法論はそれぞれの研究ごとに異なり、看護師の配置とHAIの関連性についての結論にもばらつきがあることが確認された。特定された方法論的な課題としては、データベースの選択方法、評価手法のばらつき、患者対看護師比率などを利用した看護師配置基準の決定方法、ICDコードなどによるHAIの定義方法の相違、経時性などが挙げられた。看護師配置に関する管理データは不正確または不明確なものが多かった。大半の研究では、原因菌の潜伏期間を考慮した時系列的な考察がされていなかった。より精度の高い検討を行うためには、HAI発症の2~4日前の日常的な看護師配置に関する情報を用いることが必要であると考える。
以上より、看護師の配置とHAIとの関連を評価する際は、実際に入手・利用可能なデータに基づき方法論を決定する必要がある。現在得られるデータでは、看護師の配置とHAIの発症に特化した高精度の分析は困難であるが、全国的に推進されている電子カルテの導入により、将来的には、看護師の配置とHAIに関してさらに広範で網羅的なデータが得られ、今後の研究の解決策につながると考えられる。

(訳:橋倉万由子、木津純子)

Carlisle Vol.20 No.4 p8-10 2016

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