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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
vol.20 No.4 2016

日常清掃後の多剤耐性菌による環境汚染

Gavalda L, Pequeno S, Soriano A, et al.
Environmental contamination by multidrug-resistant microorganisms after daily cleaning.
Am J Inf Control 2015;43:776-778.

いくつかの前向き研究では、多剤耐性菌感染患者が滞在していた部屋に新たに入院した患者は、短時間で耐性菌を獲得することが証明されている。さらに、同様の患者の退院前と退院清掃後の環境汚染についても多くの検討がなされ、病院清掃が環境汚染に関連することが認識されている。今回、集中治療室(ICU)に入室中で耐性菌が検出されている患者病室の日常清掃後、病室の内部と外部の高頻度接触表面から同菌が検出される割合について横断研究を実施した。
調査はバルセロナにある大学病院のICUで行われた。高頻度接触表面は、MRSA、MDRP、MDRAが検出されている患者が直接接触する表面(ベッド柵など)、患者周囲だが直接接触しない表面(補助テーブル、テーブルランプ、サービス廊下の内側ドアノブなど)、そして病室の外側の3グループに分け、採取箇所は毎日の清掃後1時間以内にランダムに選ばれた。高頻度接触表面は0.1%塩素系溶液に浸した綿製クロスで1日3回拭き取られていた。綿製クロスは再使用されているが部屋毎に交換され溶液も交換されており、使用後は0.1 %塩素系溶液で消毒されていた。検体採取は環境表面の形状に適合したテンプレートを使用し湿潤したスワブで行われ、培養後、MRSA、MDRP、MDRAが同定された場合、患者の臨床検体との関連性を確認するためにパルスフィールドゲル電気泳動法(PFGE)を実施した。
13病室から91サンプルを採取した結果、少なくとも1種類のMDROが検出された割合は、患者が直接接触する表面(ベッド柵など)では53.8 %、直接接触しない表面では30.8%、病室の外では17.9%であった。また、PFGEにより、MRSA検出患者病室の高頻度接触表面から分離されたMRSAの22%はその患者と同一菌株で、MDRPでは5%が同一菌株だった。
患者が直接接触する環境表面が最も汚染されており、繊維性のクロスが耐性菌の環境汚染を拡大させていることは否定できない結果だった。クロスの使いまわしは交差感染のリスクを高めると結論付けた。

(訳:菅原えりさ)

Carlisle Vol.20 No.4 p8-10 2016

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