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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.21 No.1 2016

手指衛生向上のための簡略化された手洗いプログラムの効果と知的障害児の欠席状況との比較

Lee RLT, Leung C, Tong WK, et al.
Comparative efficacy of a simplified handwashing program for improvement in hand hygiene and reduction of school absenteeism among children with intellectual disability.
Am J Infect Control 2015;43:907-912.

手洗いは感染症の拡大を予防するが、学童期の子供は感染症のハイリスク群であるにも関わらず十分な手洗いを行えない。特に軽度の知的障害児は手洗いテクニックを含む複雑な動作を身につけることが困難で、特殊な教育プログラムが必要である。
そこで、マルチメディア視覚教材を使用した簡略化した5段階の手洗い技術を提供し、通常の7段階の手洗いプログラム(WHO)を実施した場合との比較を行った。さらに、感染症様症状による欠席状況についても比較した。
調査は、香港の九龍地区にある200~250人の児童を擁している2つの特殊教育学校で行われた。学校には各教室、グラウンド、トイレに石けんディスペンサーと流しが設置されている。
調査期間は2014年2月26日~5月23日から12週間で、最初の8週間はプレテスト期間として手洗いの直接観察とチェックリストの評価を実施し、次の4週間は介入期間として5段階の手洗いテクニックの実演、20秒間の手洗いの歌・手洗いをしているモデルの映像、ポスター掲示を用いて介入が実施された。データはスクール看護師によって収集され、評価は蛍光剤を用い直接観察と写真評価によって行われた。直接観察では蛍光剤が完全に残存していれば0ポイント、部分的残存は1ポイント、ほとんど残っていなければ2ポイント、全くない場合は3ポイントとした。写真評価では蛍光剤で覆われた部分の割合を算出し、75~100%の残存率は0ポイント、50~75%は1ポイント、25~50%は2ポイント、0~25%は3ポイントとし、成績が良いほど点数は高くなった。欠勤状況は調査を実施した2013~2014年の欠席日数から算出した。
調査に参加した児童は151名(男子112名、女子39名;6~16歳)で、コントロール群は73名(男子56名、女子17名;6~16歳)、介入群は78名(男子56名、女子22名;6~15歳)。写真評価では左右とも手掌手背の蛍光剤の残存は介入群が有意に少なく、直接観察でも介入後のポイントはすべて上昇していた。また、介入群78名中25名に介入終了4週間後に手洗い評価を実施したところ、介入直後のデータとほぼ変化がなく持続効果が確認された。さらに欠席率も介入群が有意に低かった。
このマルチメディア視覚教材を使用した簡略化5段階の手洗い技術は、感染症の蔓延の減少効果をもたらした。今後、弱者である特殊教育学校の児童のためにこのプログラムのさらなる開発が期待される。

(訳:菅原えりさ)

Carlisle Vol.21 No.1 p8-10 2016

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