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Vol.2 No.1
Review-4

膵嚢胞性線維症外来におけるβ−ラクタム耐性緑膿菌の広がり
Cheng,K.,Smyth,R.L.,Govan,J.R.W.,Doherty,C.,Winstanley,C.,Denning,N.,Heaf,D.P.,van Saene,H.,Hart,C.A.
Spread of β-lactam resistant Pseudomonas aeruginosa in a systic fibrosis clinic.
THE LANCET,348:639−642,1996.


膵嚢胞性線維症患者の気道に、緑膿菌が定着することによって、かなりの呼吸器死亡を引き起こしている。
緑膿菌の交差感染を防止するために菌が定着していない患者から、定着している患者を分離することが推奨されているが、そのような交差感染が広がっているという証拠はほとんど示されていない。
そこでわれわは、膵嚢胞性線維症外来に通院中の子供が、高い割合でβ−ラクタム耐性緑膿菌を保菌しているということを知り、2つの遺伝子学的フィンガープリンティング法を用いて、これらの菌が1つの株から発生して広がったものかどうかを調べた。
緑膿菌の検出率と、抗生剤の感受性結果を、膵嚢胞性線維症外来の小児患者、120例の診療録の検査室報告から検索した。菌株をceftazidim耐性緑膿菌が分離された65例の喀痰から分離培養し、分離された92株の全DNAの同質性を、2つの遺伝子学的フィンガープリンティング法を用いて分析した。
小児患者120例のうち92例(76.7%)が緑膿菌を保菌しており、そのうち65例からceftazidim耐性緑膿菌が分離された。この92例のうちわずか3例のみがceftazidimによる治療を受けたことがなかった。2つ遺伝子学的フィンガープリンティング法による結果は一致し、65例中、55例の小児患者の分離菌が同一の菌株によるものであったことが示された。この菌株はceftazidim、azlocillin、imipenemに耐性で、tobramycinとciprofloxacinに感受性であった。
今回の調査は、膵嚢胞性線維症外来における緑膿菌による長期のアウトブレイクについて明らかにした初めての研究である。そして、膵嚢胞性線維症外来における抗生剤耐性についての綿密なサーベイランスを、交差感染防止のための対策と共に実施することの重要性を示唆した。今回の結果より、抗緑膿菌剤の単独療法は慎重に行われなければならないと考える。(訳:西岡みどり)


Carlisle Vol.2 No.1 p8-10 April 1997