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Vol.4 No.1
Review-3

 

熱傷病床におけるクロルヘキシジン液を介したAlcaligenes xylosoxidans起因性の創部感染
Vu-Thien, H., et al.
Investigation of an Outbreak of Wound Infections due to Alcaligenes xylosoxidans Transmitted by Chlorhexidine in a Burns Unit.
Eur. J. Clin. Microbiol. Infect. Dis., 17:724-726,1998.


Alcaligenes xylosoxidansはグラム陰性、非発酵性、運動性菌で、環境に広く分布し、感染患者の水環境から分離される。今回、同菌が1996年8月末に重症熱傷児より、またその1カ月後に他の5人の患児から分離された[平均年齢は6.9歳(9カ月〜15歳)、熱傷部28.4%(3〜70%)、同菌分離までの入院期間:平均8.6日(3〜20日)]。水治療に使用した浴槽栓や浴槽およびクロルヘキシジン(CHG)原液からは、同菌は検出されなかったが、CHG希釈液(600mg/L)配合噴霧器中の培養物から分離された。
そこで、CHG感受性、患者および噴霧器からの分離菌の関連性をパルスフィールド電気泳動法(PFGE)にて検討した。これら分離菌の生化学的反応様式、および抗生物質感受性は同一パターンを示した。また、患者からの分離菌とCHG液配合噴霧器からの分離菌のPFGEパターンは同一であり、別に分離した2人の嚢胞線維症患者の同菌のものとは明らかに異なっていた。CHG液暴露5分と60分後の同菌のMBCは、それぞれ>5,000mg/L、2,000mg/Lであり、緑膿菌の関連菌種のもの(25mg/Lおよび5mg/L)より明らかに高値であった。恐らくCHG希釈液調製中に汚染したものと考えられるが、このCHG液では噴霧器中の除菌は出来なかった。噴霧器のポリヘキサニドとジデシルジメチルアンモニウム混液で除菌後は、同菌の分離は生じていない。
高濃度CHG液の粘膜への使用は毒性が強いため、600mg/mLの液を使用しているが、その後は噴霧器の滅菌、無菌条件下でのCHG液の希釈を行うなどの改善をした。CHG希釈液の濃度は、同菌のMIC(15〜125mg/L)を明らかに上回った濃度である。同菌はヨウ素、セトリミド、次亜塩素酸ナトリウムなどの他の消毒剤に低感受性である。消毒剤もまた、Alcaligenes xylosoxidansの感染源となり得ることにより、感染菌の同定と除去の疫学的調査の重要性が強調される。

(訳:仲川義人)


Carlisle Vol.4 No.1 p8-10 Spring 1999