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Vol.4 No.1
Review-6

B型肝炎ウイルスの病院内伝播と穿刺採血による血糖値モニタリング
Quale, J. M. et al.
De´ja` vu:nosocomial hepatitis B virus transmission and fingerstick monitoring.
Am. J. Med., 105:269-301, 1998.


急性B型肝炎を発症した3例の患者が、数カ月前に19日間同じ内科病棟に入院していたことが判明した。そこで、病院内感染が発生したのかどうかを明らかにするために調査を実施した。
1995年の同じ19日間に当該内科病棟に入院していた患者を対象にコホート研究を行った。さらに、病院感染の可能性がある他の症例を特定するために、1992年から1996年10月の間に入院していた、すべての急性B型肝炎患者の診療録と検査記録をレビューした。
同じ内科病棟に入院後、2〜5カ月後に急性B型肝炎を発症した3例の患者は、通常B型肝炎のリスク因子とは認められない糖尿病に罹患していた。同じように糖尿病を合併し、今回の感染源とみなされるe抗原陽性患者が同時期に同病棟に入院していたことがわかった。すなわち、これら4例は、全例同じサブタイプ(adw2)のウイルスに感染していた。分析の結果、糖尿病の合併と穿刺採血による血糖値モニタリングが、有意に関連していた(p<0.001)。
診療録と検査記録のレビューから、1996年にも特異的なサブタイプ、adw4とadw2の2群に分類されるB型肝炎ウイルスによる病院感染で、血糖値モニタリングの穿刺採血に起因することが疑わしい11例が確認された。
穿刺採血に使用される器具には、単回使用のランセットを装着する再使用のバネ付基部となるペン型器具があるが、通常は消毒されずに患者間で使いまわされる。
看護婦や糖尿病患者のインタビューからは、血糖値測定の採血時に患者毎に手袋を交換していないという証言があり、不十分な感染対策の実践のために患者間で交差感染の機会が十分あったことがうかがわれた。
穿刺採血による血糖値モニタリングが、今回の病院感染症例の主な原因であったと思われる。今回の汚染は他のルートからの可能性も除外できないものの、おそらく医療従事者が穿刺採血を実施する際に、患者ごとに手袋を交換しなかったために起こったものと考えられる。

(訳:西岡みどり)


Carlisle Vol.4 No.1 p8-10 Spring 1999