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Vol.5 No.4
Review-3

 

血液透析室におけるHCV院内感染の分子生物学的証明
AbaciogluY.H., Bacaksiz, F., Bahar, IH.,Simmonds, P.
Molecular Evidence of Nosocomial Transmission of Hepatitis C Virus in a Haemodialysis Unit. 
Eur. J. Clin. Microbiol. Infect. Dis.,19:182-186,2000.


血液透析患者のHCV感染の主な感染経路は輸血に因るといわれていたが、輸血の既往のない血液透析患者のHCV感染が発見されたことから、その背景を分子生物学的疫学を駆使し検討した。トルコのDokuz Eylul大学病院の血液透析室で血液透析を施行している患者33人(男性23人、女性10人)を対象とした。そのうち9人(27.3%)がHCV-RNA陽性であった。9人のうち、4人がタイプ2aで、4人がタイプ1b、1人がタイプ1aで、タイプ1b感染者の1人はこの病院にきた時にHCV抗体陽性であったが、他の8人はこの病院での透析期間中にseroconversionを呈した。極めて稀であるHCVタイプ2aの患者に注目し、NS5領域のPCR法による増幅でsequenceしたところ、4人のうちの3例(TR1、TR2、TR3)(TR4は失敗)のNS5b遺伝子の248bp領域でcDNA sequenceは98.4%以上相同性であることが見出された。
 TR1は輸血歴はないが、TR2、TR3、TR4は異なる時期に違う供血者から輸血を受けた既往があった(Th4は輸血感染の可能性あり)。またTR2はHBV感染者でもあったため、透析は常に他の3人とは別の機器で行ったが、TR1、TR4の患者とは同じ日に透析を受けていた。TR1、TR3、TR4も時間帯は異なるが同じ日に、また同じ機器で透析を受けたことがあった。用いた開放循環の透析物、フィルター、チューブなどは1回限りの使用であり、機器は1日の終わりに次亜塩素酸ナトリウムで消毒している。手袋交換などはルーチンに守られていたが、緊急時などでの感染制御の標準的予防策の遵守を怠った可能性、機器や環境のわずかなHCV血液汚染を介したウイルス伝播が考えられる。ヘパリン液瓶を介したタイプ2aHCV感染の可能性は低い。
 ところで、免疫抑制剤の使用はHCV関連肝炎を助長することから、腎移植に移行する可能性のある透析患者にとってHCV感染は特に問題となる。幸い、感染制御手順の強化とHCV感染者の隔離により、その後の新たなHCV感染は認められていない。

(訳:仲川義人)


Carlisle Vol.5 No.4 p8-10 Winter 2001