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Vol.6 No.3
Review-1

ノースカロライナ州で発生した結核の集団感染:共用した噴霧器による伝播
Southwich, K. L., Hoffmann, K., Ferree, K., et al.
Cluster of tuberculosis cases in North Carolina :Possible association with atomizer reuse.
Am. J. Infect. Control, 29:1-6, 2001.


不適切な洗浄の気管支鏡を介した結核感染はよく知られている。検査では、喉や鼻にリドカインが噴霧されており、その際の微生物汚染が問題となっている。そこで今回、その噴霧器が結核菌伝播の媒体となる可能性について、ノースカロライナ州のA病院で同じ日(1997年4月23日)に気管支鏡検査を施行した患者の事例を詳細に検討した。 
 その結果、3人の気管支分泌物からRFLPによるDNAフィンガープリントで同一タイプの結核菌が検出された。患者1は85歳の女性。咳嗽の治療で来院、肺癌を疑い気管支鏡での検査を施行。組織検査で肉芽腫が認められたが、塗沫標本で抗酸菌が認められ、ツベルクリンテスト(TST)が20mmで、直ちに結核治療を開始した。患者2は80歳の女性。患者が2歳の時、母親が結核で死亡。咳嗽で長年悩まされており、気管支鏡での検査を施行。塗沫標本は陰性。内視鏡検査結果は異常なかったが、喀痰培養で結核菌陽性となったため、5月下旬に結核治療を行う。検査12週間後に行った2段階TSTはいずれも0mm。患者3は49歳の男性。慢性閉塞性肺疾患、慢性多発性咳嗽。慢性咳嗽の原因検査に気管支鏡検査を施行。重篤な障害は認められず、塗沫標本は陰性。同年6月初旬に複視、結核浮腫、ブドウ膜炎と嗄声を訴える。TSTは20mm。この時期に気管支肺胞洗浄の培養結果で結核菌陽性と判明し、6月初旬のX線検査は正常であったが、6月5日から結核治療薬を投与。その治療により眼の症状は速やかに回復した。 
 3人は米国で生まれ、別々の地域で育ち、薬物濫用、HIV感染歴はなく、同じ日に行った気管支鏡検査では時間、担当医、気管支鏡はいずれも別になっていたが、患者の咽頭、鼻粘膜を麻痺させる目的で用いた噴霧器のノズルを交換せずに再使用した可能性がある。気管支鏡の消毒はマニュアルに従い、自動洗浄し滅菌装置で再生し、患者ごとに交換している。噴霧器の1回使用後のノズルは75%、リドカイン貯留部で42%の汚染が報告されている。患者1に使用し、汚染したノズルを患者2、3に使用したことによる結核菌伝播が最も疑わしい。調査後、病院Aは噴霧器を単回使用に改善した。

(訳:仲川義人)


Carlisle Vol.6 No.3 p8-10 Autumn 2001