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臨時付録

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Vol.12 Suppl.14 第22回日本環境感染学会 教育セミナー 記録集
(2007年)

開催日:2007年2月23日
開催地:パシフィコ横浜

手術時手指消毒の新しい流れ
ごあいさつ
  栗村 敬(大阪大学名誉教授)
  • 術前の手指消毒について
    ―速乾性手指消毒薬を中心に―

    小林寛伊(東京医療保健大学学長・同大学大学院研究科教授)
手指衛生にかかわる消毒薬の世界的な歴史
 手指衛生の歴史をさかのぼりますと、紀元前のHippocratesの時代になります。「創は煮沸した水で洗い、創処理するときには手と爪をきれいにする」という記載があります。その後約1400年を経て、Semmelweisが初めて手洗いを導入したのが1847年です。塩素は値段が高いため、さらし粉を使ってウィーン産院の出産後死亡率を低減しています。  そしてListerの時代になります。Listerの業績のもとになったのは、Pasteurの自然発生説の否定です。これを受けてListerは、気胸が閉鎖性のときには膿胸は起こらないが、開放性の創があると外の空気が中に入り込んで膿胸を起こすという仮説を立てました。1864年にはCarlisleというスコットランドとイングランドの境の都市で、下水処理場に石炭酸をまいたところ臭いがなくなり、そのあとに生えた牧草を食べた牛の寄生虫が減少しました。その事実に目をつけて1865年8月12日、James Greenleesという11歳の少年の開放性骨折の傷を、初めて石炭酸を含ませたガーゼで覆いました。それ以来、肢切断後の死亡率を約3分の1に減らすことができました。それが今日の無菌手術につながっています。  ゴム手袋が初めて使われたのは1889年です。汚染を防ぐためではなく、Halsteadのプライベートナースが昇汞(塩化第二水銀)にアレルギー反応を起こすため、2相のゴム手袋を作らせたのが最初だそうです。
 20世紀になり、1935年に第四級アンモニウム塩の殺菌作用が報告され、1941年にはヘキサクロロフェン(G-11)が発表されました。東京大学医学部附属病院(東大病院)の清水外科で1952年に初めてG-11を手術時手洗いに採用したという記録が残っています。1954年にはクロルヘキシジンが開発され、1957年にはヨードホールが合成されました。1966年にはヘキサクロロフェンのスクラブ剤が、1969年にはポビドンヨードが市販されています。  1971年、フランスで6%ヘキサクロロフェンが混入されたベビーパウダーを使った子どもが4人死亡するというショッキングな事故が起こりました。これを受けて米国食品医薬品局(FDA)は勧告を出しています。それ以来ヘキサクロロフェンの毒性が問題になりました。日本では1985年に発売中止になっています。同年、米国疾病管理センター(CDC)が「手洗いと病院環境制御のためのガイドライン」を初めて出しました。
 1985年は日本で初めて速乾性擦式手指消毒薬が発売された記念すべき年です。1999年になって英国Hospital Infection SocietyのチェアマンをしていたGraham Ayliffeが、アルコールのみによる擦式消毒で手術に入る方法を推奨しています。その後2002年、CDCの「医療機関における手指衛生のためのガイドライン」により、擦式消毒のみで手術に入ることを認める方向性が出ています。ドラフトでは流水による手洗いは入っていませんでしたが、パブリックコメントを求めている段階で外科医が猛反対して、結果的に流水による手洗いまたは擦式消毒、スクラビング法でもラビング(擦式消毒)法でもよいというかたちの勧告になりました。
  • 新GCPに準拠したクロルヘキシジングルコン酸塩ハンドローション0.5%による手指消毒効果の検討
    今村 豊(雪ノ聖母会聖マリア病院血液内科)
 新GCP(Good Clinical Practice)に準拠した方法で、0.5%クロルヘキシジングルコン酸塩(CHG)ハンドローション(ウエルアップハンドローション0.5%)の臨床試験を行い良好な成績を得ましたので、ご報告します。
経緯
 CHGは皮膚に対する刺激性が少なく、臭いもほとんどないビグアナイド系消毒薬です。主に生体消毒用に水溶液またはアルコール溶液として広く使用されています。2002年米国CDCによる「医療現場における手指衛生ガイドライン」において、アルコールベースの擦式手指消毒薬が推奨されています。さらに、CHG含有アルコール製剤は、消毒直後に皮膚上の細菌数をより有効に減少させると報告されています。低濃度(0.5〜1%)のCHGを含有するアルコール製剤では、優れた残留効果を示すとされています。
 しかし、本邦におけるCHG含有アルコール製剤は、CHG含有濃度が0.2%であるため消毒持続効果が約3時間と短く、消毒持続効果を十分に得るためには、CHGの添加濃度を検討する余地があるとされています。
 CDCによる手術時の手指消毒薬に求められる効果としては、即時効果、持続効果、累積効果があり、このうち重要なのは即時効果と持続効果とされています。
  • 質疑応答


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Carlisle Vol.12 Suppl.14 Appendix  2007